終活カフェ

寺島司法書士事務所 司法書士 寺島優子

終活:2025年問題?

2025年問題は、団塊の世代約800万人が75歳以上の後期高齢者になり、医療や介護の需要が増加する問題です。社会保障制度の維持が大変なだけでなく、介護の必要な高齢者が増えることで、地域社会で一人一人の高齢者が今まで通り普通の暮らしを続けることが、困難になると予想されます。
なかでも、認知症になれば、脳の司令塔の機能に障害が起こりますので、普通の暮らしを続けることが困難となります。記憶障害、見当識障害、実行機能障害、判断・理解力の障害が起こり、本人だけでなく家族にとっても、障害に合わせた環境を整備する必要が生じます。環境を整え、ストレスを減らして、住み慣れた地域で、今までと変わらぬ当たり前の暮らしを続けたいという、誰もが望むそんな切なる想い。認知症になった後、いかに実現していくのか。そこが地域社会にとって大きな課題となっています。

認知症カフェ

地域社会で、今、広がりを見せているのが認知症カフェです。初期認知症の方や、最近物忘れが始まって1人暮らしに不安を感じるようになった方、あるいはその家族の方々が集い、認知症や介護の不安を専門相談員に話したり、仲間と集うことで、必要なときに支援の手が入る関係づくりを進めています。私も、近隣の町で開催される認知症カフェに参加しましたが、オカリナの演奏を聴きながら高齢者の方々の笑顔に囲まれて穏やかな時間を過ごし、介護専門員の貴重なアドバイスを受け、楽しいひと時を過ごしました。各地でこのような場所ができるのは非常に頼もしいことだと感じました。

日常生活自立支援事業

地域社会で当たり前の暮らしを続けていくために、判断力に少し不安を感じた頃に利用できる支援が、他にもあります。それが社会福祉協議会の行う、日常生活自立支援事業です。
日常生活自立支援事業は、認知症等で判断力が不十分な方が、地域社会で自立した生活が送れるように、社会福祉協議会との間で契約を結び、福祉サービスの利用援助等を受けるものです。最近少し物忘れが出てきて、家の賃貸借契約の更新契約書類を読むのが難しくなった、一人で銀行に行くのが不安なのでついてきてほしい、定期的に訪問してほしい、物を購入するので相談に乗ってほしい等、判断力が少し低下したけれども、支援の手が入れば対応は可能な方にとって、大変心強い制度です。定期的に電話をかけてくれるサービス等もあります。この事業を使えば、地元の社会福祉協議会との信頼関係が築け、特殊詐欺の被害に遭ったり、高齢者の間で年々増加する消費者被害に遭うことが、ある程度、防げるのではないかと考えます。定期的な電話サービスを受けることによって、安否確認ができ、孤立死を防ぐ命綱になってくれると思います。初期認知症はゴールではないのです。そこをスタート地点として、地域で自分らしい暮らしをどのように続けていくのか、探っていかねばなりません。早い段階であなたの町の身近な支援の輪を見つけておくことが大切です。

もしもの時のエンディングノート

エンディングノートを書いたことはありますか?判断力の低下した方の支援者になるとき、我々が分からなくて困ることの一切が、このノートには詰まっています。判断力の低下した方の支援を行う際には、何もかもが手探りです。
親族はいるのか?どんな財産を持っているのか?どういう暮らしを望まれる方なのか?介護の希望は?治療についてはどんな望みをお持ちか?延命措置は望まれるのか?どんな食べ物が好きなのか?どんなことに心を動かされるのか?最期に連絡してほしい大切な人はいるのか?
これらの希望はたとえ家族が近くに居たとしても、事前に話し合っていなければ、知ることはないのかも知れません。法定後見人として、初めてその方にお会いした時に、どのような支援を行えばいいのか、ご本人の希望を知りたいと思います。役所・地域包括支援センターや、地域のケアマネージャーなど、一体誰が、一人暮らしで他人に頼らず生きてきたご本人の、「生きるための希望」を知っているのでしょうか?残念ながら誰にも分からないこともあります。そんな時にエンディングノートがあれば、支援のキッカケが掴めます。
エンディングノートは、一人暮らしの方だけでなく、既に支援者に囲まれているご本人にとっても、心の整理にとても役に立つと思います。

家族であっても聞けない、もしもの話

「もしも明日、余命宣告を受けたら、あなたなら、今後の療養生活がどういうものであってほしいですか?」
そうした話は、たとえ家族であっても、というよりも一番身近な家族であればこそ、話しにくいものです。でも、とても大切な話。もしもの時がきたら、話し合っておけば良かったと後悔することになりそうです。
当事務所では、毎月地域の方向けに各種専門家によるセミナーを行っていますが、2017年11月は社会福祉法人静友会主催で、「もしバナゲーム」を取り入れた終活カフェを開催することになりました。
もしものときの話をするにはキッカケを掴むのが大変!そんな話をするなんて縁起でもない!
だからこそ、終活カフェに来て、ゲーム感覚で、自分の心の中にしまってある想いを一緒に探ってみませんか? そこから適切な支援が見つかるかもしれません。相談員は介護のプロなので、より良い暮らしをするための情報が得られるかも知れません。

 

地域の皆さんの参加、お待ちしております!