おひとりさまの老後に備える
寺島司法書士事務所 司法書士 寺島優子
おひとりさまの老後への備え
おひとりさまの老後には、どんなことが起こりうるでしょうか?
- 常時介護が必要となって入所施設を選ばなければならないが、一人では自由に動けないために、適切な施設を探すことができない
- 自宅内で倒れてしまい救急車を呼ぶことができない、そのことを周囲の人に伝える手段がない
- 判断力が低下した結果、詐欺に遭いやすくなる
- 判断力が低下して、自分で医療についての決定ができなくなり、医師から必要な手術等を拒否されてしまう
おひとりさまの高齢者は、支援の必要なことが徐々に増えていきますが、いざという時にフォローしてくれる存在を探すことが困難と言えます。おひとりさまの人生は、自由です。しかし、上記のような事態が起こった時にどうするかという不安を解消しておかないと、人生を楽しむ気分にはなれないかも知れません。
日常生活自立支援事業でできること
おひとりさまの不安を、低料金で解消する方法があります。地域の社会福祉協議会では、日常生活自立支援事業と言う制度を用意しています。詳しくは終活カフェのコラムで紹介していますので、そちらを参考にしてください。非常に低額な料金で、金融機関で預金をおろすのを手伝ってもらったり、契約する時に内容を一緒に検討してもらえる等、おひとりさまには心強いサービスが用意されています。一緒に契約内容を検討してもらえば、不用意な詐欺商法に引っかかるリスクも減るはずです。
週に一度、電話や訪問をしてくれるサービスもあります。定期的な電や訪問は、何となく感じる心細さを解消してくれますし、不安を打ち明けることもできます。いつか後見制度等、別の支援が必要になった時に、電話や訪問に来てくれる相手が、常に自分の様子を把握しておいてくれることで、スムーズに別の支援に導いてもらうことも期待できます。自宅内で倒れた時も、電話サービスをきっかけに気づいてもらえるかもしれません。
更に、地域の社会福祉協議会や役所が開催している認知症カフェに参加すれば、仲間に出会えます。認知症カフェには認知症専門医や看護師、介護士、ケアマネージャーが参加していることがあります。こうした地域の会に参加すると、介護施設が必要な方、介護制度の利用を検討中の方にとっては、必要な支援に出会えるきっかけとなるはずです。日常生活自立支援事業は非常に有難い制度ですが、社会福祉協議会との契約が必要なので、判断力が低下すると、引き続き日常生活自立支援事業のサービスを受けるための契約を結ぶことができなくなってしまいます。その時には、成年後見制度の利用を検討する必要が出てきます。
また、判断力が低下した後には、医療の決定が自分で行えなくなるので、医療行為について、事前に方針を決めておかないと対応できません。
週に一度、電話や訪問をしてくれるサービスもあります。定期的な電や訪問は、何となく感じる心細さを解消してくれますし、不安を打ち明けることもできます。いつか後見制度等、別の支援が必要になった時に、電話や訪問に来てくれる相手が、常に自分の様子を把握しておいてくれることで、スムーズに別の支援に導いてもらうことも期待できます。自宅内で倒れた時も、電話サービスをきっかけに気づいてもらえるかもしれません。
更に、地域の社会福祉協議会や役所が開催している認知症カフェに参加すれば、仲間に出会えます。認知症カフェには認知症専門医や看護師、介護士、ケアマネージャーが参加していることがあります。こうした地域の会に参加すると、介護施設が必要な方、介護制度の利用を検討中の方にとっては、必要な支援に出会えるきっかけとなるはずです。日常生活自立支援事業は非常に有難い制度ですが、社会福祉協議会との契約が必要なので、判断力が低下すると、引き続き日常生活自立支援事業のサービスを受けるための契約を結ぶことができなくなってしまいます。その時には、成年後見制度の利用を検討する必要が出てきます。
また、判断力が低下した後には、医療の決定が自分で行えなくなるので、医療行為について、事前に方針を決めておかないと対応できません。
ホームセキュリティでできること
今や、警備会社でも、低額な利用料で、体調が悪い時のかけつけ、24時間の健康相談、必要な場合の緊急搬送などに対応しています。おひとりさまの高齢者が自宅内で倒れてしまうと、鍵がないので警察を呼ばないと玄関を開けることができず、対応に時間がかかります。しかし、警備会社のホームセキュリティーでは、契約時に鍵を預けておくので、異常時の対応が早いというメリットがあります。その他に、ライフリズム監視サービスという追加の契約をしておくことで、緊急事態を警備会社が察知して、すぐに対応してもらえるメリットがあります。
ホームセキュリティーでは、緊急時の対応は安心できますが、医療の決定、必要な契約への対処、詐欺被害の予防や対応などはできないので、他の制度と組み合わせることで、安心を得られます。
ホームセキュリティーは、どちらかと言えば、親族は遠くに住んで居て、緊急時に備えたいというケースに利用されるのかと思います。
また、賃貸物件に高齢者を入居させている貸主が、リスク予防に、保険加入とホームセキュリティーを組み合わせて契約すれば、賃貸物件内で起こる孤立死による物件価値の低下を防ぐことができます。
任意後見契約
おひとりさまの高齢者がもしも、医療のこと、施設入所のこと、自分が亡くなった後のこと、全て、自分は一人で対処しなければいけないから、今後のことにきちんと備えておきたいと思った場合、任意後見契約をしておくことをお勧めします。施設に入る、自宅を売却もしくは管理する、病院に入院する、医療について決定する、自分の判断力が失われた時の財産を管理する、亡くなった後の処理をする、こうしたことは通常、おひとりさまの高齢者に家族や後見人が居なければ、誰も代わりには行う者がおらず、止まってしまいます。
何も決めておかないままに判断力が低下してしまえば、それに気づいた役所が法定後見人の選任申立てを行うことになりますが、支援が必要な状態になってから後見人等が選任されるまでの間、不安定な状態に置かれることになります。役所など周囲の者が気づくのが遅れる間に、財産が詐欺商法で大幅に減っているケースもあります。孤立死の発生も起こり得ます。
何の準備もされていなければ、本人の様子を全く知らない後見人等が選任されます。その場合、後見人等は、手探りで財産管理や介護の方針を決めていくことになります。おひとりさまの高齢者の望みが分からないので、その意思とは異なる支援が行われることは否定できません。法定後見制度では、ご本人の財産を減らさない、投資や運用を行わない、自宅売却には著しく制限がかかる、等の特徴があります。ご本人の希望が分からないわけですから、その制限を受け入れて管理していくしかありません。
しかし、任意後見契約であれば、おひとりさまの高齢者が、自分でどのような財産管理を行ってほしいのか、予め決定できます。財産管理を任せたい相手(任意後見人)も自分が一番信頼する相手を選ぶことができます。法定後見制度を利用した場合には、親族が必ず後見人に選任される訳ではありませんが、任意後見契約を利用すれば、契約した相手が後見人になれます。周囲に頼める相手が居なければ、専門職に依頼することができます。
任意後見契約では、おひとりさまの高齢者の判断力が低下した後には、裁判所が任意後見監督人という人を選任します。自分でチェックを行えない状態になった後、裁判所が選んだ任意後見監督人が、ご本人の意思の通りに後見人が財産管理を行っているのかを監督してくれるので、安心できます。
任意後見人を親族に頼む場合、親族が報酬を求めない方であれば、おひとりさまの高齢者の判断力低下後に、任意後見監督人の報酬のみが発生します。専門職後見人に任意後見人を頼む場合は、任意後見人と任意後見監督人の報酬が発生することになります。任意後見人の報酬は当事者同士の契約で決まり、任意後見監督人の報酬は裁判所が決定するという違いがあります。リーガルサポートに所属する司法書士の任意後見人報酬は、リーガルサポートの定めた基準によります。
任意後見契約では、先に後見人を決めて契約をしておくので、後見人が必要な状態になった時に、財産管理が滞りなく始められます。法定後見人等のように後見人等が選任されるまでの長い空白期間が開く訳ではありません。
何も決めておかないままに判断力が低下してしまえば、それに気づいた役所が法定後見人の選任申立てを行うことになりますが、支援が必要な状態になってから後見人等が選任されるまでの間、不安定な状態に置かれることになります。役所など周囲の者が気づくのが遅れる間に、財産が詐欺商法で大幅に減っているケースもあります。孤立死の発生も起こり得ます。
何の準備もされていなければ、本人の様子を全く知らない後見人等が選任されます。その場合、後見人等は、手探りで財産管理や介護の方針を決めていくことになります。おひとりさまの高齢者の望みが分からないので、その意思とは異なる支援が行われることは否定できません。法定後見制度では、ご本人の財産を減らさない、投資や運用を行わない、自宅売却には著しく制限がかかる、等の特徴があります。ご本人の希望が分からないわけですから、その制限を受け入れて管理していくしかありません。
しかし、任意後見契約であれば、おひとりさまの高齢者が、自分でどのような財産管理を行ってほしいのか、予め決定できます。財産管理を任せたい相手(任意後見人)も自分が一番信頼する相手を選ぶことができます。法定後見制度を利用した場合には、親族が必ず後見人に選任される訳ではありませんが、任意後見契約を利用すれば、契約した相手が後見人になれます。周囲に頼める相手が居なければ、専門職に依頼することができます。
任意後見契約では、おひとりさまの高齢者の判断力が低下した後には、裁判所が任意後見監督人という人を選任します。自分でチェックを行えない状態になった後、裁判所が選んだ任意後見監督人が、ご本人の意思の通りに後見人が財産管理を行っているのかを監督してくれるので、安心できます。
任意後見人を親族に頼む場合、親族が報酬を求めない方であれば、おひとりさまの高齢者の判断力低下後に、任意後見監督人の報酬のみが発生します。専門職後見人に任意後見人を頼む場合は、任意後見人と任意後見監督人の報酬が発生することになります。任意後見人の報酬は当事者同士の契約で決まり、任意後見監督人の報酬は裁判所が決定するという違いがあります。リーガルサポートに所属する司法書士の任意後見人報酬は、リーガルサポートの定めた基準によります。
任意後見契約では、先に後見人を決めて契約をしておくので、後見人が必要な状態になった時に、財産管理が滞りなく始められます。法定後見人等のように後見人等が選任されるまでの長い空白期間が開く訳ではありません。
任意後見人に頼めること:任意代理契約
任意後見人は、おひとりさまの高齢者の判断力が低下した後に就任しますが、その前にも、身体が不自由になったから、今から財産管理を任せたいと言う希望があれば、任意代理契約を交わすことで、判断力低下前の財産管理を依頼することができます。任意後見受任者が選任されていれば、施設は安心して、親族がいない方の施設入所を受け入れてくれる傾向にあります。施設で最期を迎えた後に、後見人が死後の手続をきちんとしてくれる安心感があるからです。任意代理人は金融機関の手続、施設入所の契約代行、自宅の管理等、本人の判断力があるうちから必要なことを代行して行えます。
任意後見人に頼めること:医療に関する事前指示
おひとりさまの高齢者に医療行為が必要となった時、医療については事前にあらかた自分で方針を決めておいて、判断力低下後、決めておいた方針に沿った事項につき医師から問合せがあった時に、自分に代わって判断してくれる代理判断者を指定しておく方法があります。この部分を任意後見人に頼んでおくことができます。医師は身体に傷をつける医療行為(メスを入れる等)をする際に、本人の承諾を必ず得ます。本人の承諾を得られない場合、家族にも代わって承諾してもらえないのであれば、傷害罪に当たると困るので、医療行為を行ってくれない傾向にあります。必要な医療が滞りなく受けられるようにするためには、医療について、自分の意思を明らかにしておき、あらかじめ代理判断者を決定して、もしもの時に備えておく必要があります。
尊厳死についても同様です。生き方、亡くなり方を決める権利はおひとりさまの高齢者自身にあります。その選択権は適切に行使するべきです。こうした尊厳死の選択は、事前に公正証書化しておき、任意後見人にその想いをきちんと託すことで、初めて希望を実現できるのです。
尊厳死についても同様です。生き方、亡くなり方を決める権利はおひとりさまの高齢者自身にあります。その選択権は適切に行使するべきです。こうした尊厳死の選択は、事前に公正証書化しておき、任意後見人にその想いをきちんと託すことで、初めて希望を実現できるのです。
任意後見人に頼めること:死後事務委任契約
おひとりさまの高齢者が亡くなった後のことも、任意後見人に頼むことができます。死後には様々な届出や支払の義務が発生します。そうしたことを誰かに託しておかないと、病院や施設での受け入れは難しいと言えます。ですから、亡くなった後の手続までも任意後見人に託すための契約を交わし、死後、手続や支払が滞りなく行われるようにしておきます。
任意後見人に頼めること:遺言執行
おひとりさまの高齢者が亡くなった後、財産の行先を遺言で指定しておかないと、残った財産は、法定相続人がいなければ国庫に帰属することになります。もしも、特別に渡したい相手がいるのであれば、是非、遺言を書いてください。この遺言の内容を実現するのは遺言執行者の仕事です。遺言の執行まで任意後見人に頼んでおけば、亡くなった後の手続で心配することはなくなります。